ちっちっchi

「黒子のバスケ」二次小説です。管理人の妄想の限り小説を書こうと思います。 ※ホモネタ１８禁ネタ多くありますのでご注意ください。また、原作とは一切関係ありません。

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2024/11/29 (Fri)

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2010/04/06 (Tue)

「雁が首」9

あんなに格好いいことばかり言った自分が本当は一番許せなかった。

[0回]

結局自分は黄瀬涼太という男から逃げ出したんだ。あいつは真っ直ぐに向き合おうと正直に打ち明けてきた。それなのに自分は気持ちをひた隠しに隠して逃げ出すなんて、まるでインターハイで負けたときの自分のようだ。あれから全然成長していない。バスケだって本当は黄瀬と一対一をやるのが怖かったんだ。それで負けたら？そう思うと怖くてできなかった。

いや、きっと今の自分は黄瀬には勝てない。

卑怯だ。こんなの卑怯すぎるやっぱり黄瀬には放課後見たような可愛い女の子の方が向いているんだ。離れてしまえば黄瀬もすぐに笠松の事など忘れるに違いない。

そうだこれでいいんだ。

笠松は電車のつり革にぶら下がりながらひとり微笑んだ。

「笠松さんッスよね」ふと声をかけられて横を見ると隣には以前お好み焼き屋で見たことがある男が立っていた。

「高尾？」「覚えていてくれたんッスね。なんだか嬉しい」彼はサラサラした髪を片手でかき上げた。黄瀬と同じキセキの世代である緑間真太郎と同じ秀徳高校の高尾和成だった。

キセキの世代と同じチームメイトという点で話が盛り上がりメアドも交換したことがある。

「あれからおたくのエースはどうッスか」しゃべり方が若干黄瀬に似ている。

そいえば前は黄瀬も一緒だったらあまり気にしなかったが意外と整ったきれいな顔立ちだし雰囲気も黄瀬に似ている。

「ん？どうしたんッスか？」そんなことを考えていたせいで高尾の話を聞いてなかった笠松の顔を覗き込んできた。

「うわっ！」笠松はちょっとびっくりして声を上げた。

「ああ、聞いてませんでしたね。さては黄瀬君と何かありましたね」鷹の目（ホークアイ）というのはそんなことまで気づいてしまうのだろうか？まさか・・・まぐれだ

笠松は微笑んだ。

「やだなぁ笠松さん。本当にどうしたんッスか？」

つられて笑いながら高尾はつり革をもて遊んでいる。

「いや、別にそれより君のところの緑間はどうだ？」

「あいつはわかりやすいのに時々全然読めない奴なんですよ～やっぱキセキって違うのかなぁ」わかりやすいのに読めない・・・黄瀬にも共通する部分がある。

笠松は思わず頷いた。

「腹へってねぇ？」笠松の問いかけに高尾が乗ってきた。「減ってます。マジ行きます？」

「ああ」と突然高尾とマジバーガーへ行くことにして電車を降りた。

店に入っていくと意外に店内は混んでいた。席を探しながらマメな高尾が見渡した。ホークアイは便利だと思っていると、高尾が笑いながら歩いていった。笠松はトレーを持ったままその方向を見つめていると、高尾は窓越しに座っている緑間に声をかけた。ひとりでこんなところに来るようなタイプにはとても見えないのだが・・・笠松も近づいていくと高尾と話している緑間の声が聞こえてきた。

「今日のラッキーアイテムはマジバーガーのラッキーセットのおまけなのだよ」よく見ると緑間のテーブルの上には子供向けメニューが置かれていた。

笠松は思わず吹いた。それに気づいた緑間の視線が笠松をとらえる。

「海常のキャプテンとどんな密談なのだよ」

＜つづく＞