ちっちっchi
「黒子のバスケ」二次小説です。 管理人の妄想の限り小説を書こうと思います。 ※ホモネタ18禁ネタ多くありますのでご注意ください。また、原作とは一切関係ありません。
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ずっと高い空を見上げていた。
あの青い空を
白い雲を自由に飛び回ることができたら
どんなに世の中が輝いて見えるだろう
氷室辰也は水面を出て岩場に上がると通り過ぎる鳥達を見上げた。
いつもは暗い水の中で生活しているが、たまにこうして水面に上がってくる。
キラキラと太陽の光を浴びて水面は輝いていた。
この岩場から見下ろす海も空と同じように青かった。
「あれは空の色が水に反射してるんだよ」
人魚仲間がそう教えてくれた。
だから水の奥は空がなくて暗いんだ。
せめて人間ならこの空の下で生きることもできたのに・・・
氷室はへそから下の尾ひれを動かす。
それは海の中ではとても便利だ。どこまでだって泳いでいける。
ただ、陸を歩いたり空を飛ぶことはできない。
「やあ、人魚。お前はどうしてこんなところにいるんだ?人に見つかればその血肉欲しさに狩られるかもしれないぞ。人は人魚の血肉で不老不死になると信じているらしいからな」
大きな翼を持つ天使が氷室の前に降り立った。
「やあ、ここならあまり人は来ないんだ。君こそどうして地上に降りてきたんだい?」
氷室が微笑むと天使は
「退屈だったんだ。俺はどうも聖人って奴が性にあわない」
がさつに頭を掻くその姿は天使には見えなかった。
「泳いでみたくはないか?」
氷室の申し出に天使は複雑な顔をした。
「俺は飛べるけど、泳げねぇ」
氷室は彼の手を取った。
「だから俺の背中に乗ればいい」
「良いのか?」
天使は無邪気に笑った。
氷室はコクンと頷いた。
「俺は火神大我。天界に住んでる」
「俺は氷室辰也、この海の底に住んでいる」
天高く暮らす火神と海の奥深く暮らす氷室
この対照的なふたりは偶然出会ってしまった。
それからふたりは毎日のようにこの岩場で会うようになった。
お互いにお互いの世界に憧れる。
そうしているうちに氷室は火神に惹かれていった。
天使なのにその身に抱かれる夢を見る。
「なぁ、お前も空を飛びたいか?」
ある日火神に聞かれて氷室は人魚仲間の言葉を思い出した。
『我々がこの海から上がっていられるのはわずか数分だ。それ以上海から離れれば泡となって消えてしまう。だから決して離れてはいけない』
何も答えない氷室に火神は不思議そうに顔を近づけてきた。
「どうした?飛びたくないのか?」
「飛びたい・・・」
ポツリと答えると火神は氷室の背中でその両腕を掴んで少しだけ飛び上がった。
「だめだ!!」
氷室はその手を払ってドボンと海の中へ落ちた。
火神はしばらく海面を見下ろしていたが、氷室は海上には上がってこなかった。
所詮天使と人魚では住む世界が違いすぎる。
火神の体に触れたくても清らかな天使ではそんなことはとうてい叶わない。
氷室は泳いでいるうちに大きな船に遭遇した。
海は荒れていて船からひとりの青年が海に投げ出されたのを見た。
氷室はすぐにその後を追いかけて青年を見付けた。
彼は水中で意識を無くしている。このままでは死んでしまうかもしれない。
氷室は泳いで近くの浜辺まで彼を運んできた。
水を飲んでいるかもしれないので口移しでその水を吸い出してやる。
「うっ・・・」
彼の意識がうっすらと戻ってきた。
「大丈夫?もう大丈夫だよ」
氷室が微笑むと彼は氷室の目の下の泣きぼくろに触れた。
「笑っているのに悲しそうだね」
一瞬にして心を見透かされたような気分になり氷室は海の中へ引き返していった。
「あの!名前を!!」
青年の言葉は氷室には届かなかった。
<続く>
読了、ありがとうございます。
かなり短めに書いたつもりなんですが、
あと2話ぐらい続きます。
あの青い空を
白い雲を自由に飛び回ることができたら
どんなに世の中が輝いて見えるだろう
氷室辰也は水面を出て岩場に上がると通り過ぎる鳥達を見上げた。
いつもは暗い水の中で生活しているが、たまにこうして水面に上がってくる。
キラキラと太陽の光を浴びて水面は輝いていた。
この岩場から見下ろす海も空と同じように青かった。
「あれは空の色が水に反射してるんだよ」
人魚仲間がそう教えてくれた。
だから水の奥は空がなくて暗いんだ。
せめて人間ならこの空の下で生きることもできたのに・・・
氷室はへそから下の尾ひれを動かす。
それは海の中ではとても便利だ。どこまでだって泳いでいける。
ただ、陸を歩いたり空を飛ぶことはできない。
「やあ、人魚。お前はどうしてこんなところにいるんだ?人に見つかればその血肉欲しさに狩られるかもしれないぞ。人は人魚の血肉で不老不死になると信じているらしいからな」
大きな翼を持つ天使が氷室の前に降り立った。
「やあ、ここならあまり人は来ないんだ。君こそどうして地上に降りてきたんだい?」
氷室が微笑むと天使は
「退屈だったんだ。俺はどうも聖人って奴が性にあわない」
がさつに頭を掻くその姿は天使には見えなかった。
「泳いでみたくはないか?」
氷室の申し出に天使は複雑な顔をした。
「俺は飛べるけど、泳げねぇ」
氷室は彼の手を取った。
「だから俺の背中に乗ればいい」
「良いのか?」
天使は無邪気に笑った。
氷室はコクンと頷いた。
「俺は火神大我。天界に住んでる」
「俺は氷室辰也、この海の底に住んでいる」
天高く暮らす火神と海の奥深く暮らす氷室
この対照的なふたりは偶然出会ってしまった。
それからふたりは毎日のようにこの岩場で会うようになった。
お互いにお互いの世界に憧れる。
そうしているうちに氷室は火神に惹かれていった。
天使なのにその身に抱かれる夢を見る。
「なぁ、お前も空を飛びたいか?」
ある日火神に聞かれて氷室は人魚仲間の言葉を思い出した。
『我々がこの海から上がっていられるのはわずか数分だ。それ以上海から離れれば泡となって消えてしまう。だから決して離れてはいけない』
何も答えない氷室に火神は不思議そうに顔を近づけてきた。
「どうした?飛びたくないのか?」
「飛びたい・・・」
ポツリと答えると火神は氷室の背中でその両腕を掴んで少しだけ飛び上がった。
「だめだ!!」
氷室はその手を払ってドボンと海の中へ落ちた。
火神はしばらく海面を見下ろしていたが、氷室は海上には上がってこなかった。
所詮天使と人魚では住む世界が違いすぎる。
火神の体に触れたくても清らかな天使ではそんなことはとうてい叶わない。
氷室は泳いでいるうちに大きな船に遭遇した。
海は荒れていて船からひとりの青年が海に投げ出されたのを見た。
氷室はすぐにその後を追いかけて青年を見付けた。
彼は水中で意識を無くしている。このままでは死んでしまうかもしれない。
氷室は泳いで近くの浜辺まで彼を運んできた。
水を飲んでいるかもしれないので口移しでその水を吸い出してやる。
「うっ・・・」
彼の意識がうっすらと戻ってきた。
「大丈夫?もう大丈夫だよ」
氷室が微笑むと彼は氷室の目の下の泣きぼくろに触れた。
「笑っているのに悲しそうだね」
一瞬にして心を見透かされたような気分になり氷室は海の中へ引き返していった。
「あの!名前を!!」
青年の言葉は氷室には届かなかった。
<続く>
読了、ありがとうございます。
かなり短めに書いたつもりなんですが、
あと2話ぐらい続きます。
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プロフィール
HN:
るん
性別:
非公開
自己紹介:
黒子のバスケで笠松と桜井が何故かとても好きです。
でも黄瀬や緑間のキセキも好きです。
もちろん火神や青峰の危なっかしいところも好きで
黒子や他の誠凜メンバーも好きです。
でも一番愛しているのは海常です。。。
ちょっとカオスですがよろしければお願いします。
でも黄瀬や緑間のキセキも好きです。
もちろん火神や青峰の危なっかしいところも好きで
黒子や他の誠凜メンバーも好きです。
でも一番愛しているのは海常です。。。
ちょっとカオスですがよろしければお願いします。