ちっちっchi

今日はバレンタインか～誰かチョコくんないかなぁ～

[6回]

高尾は教室の椅子に座って両手を頭の後ろで組むとふと窓の下を見た。
校庭で３年生が体育を終えたばかりらしく、体育着を着た生徒達が固まっている。
「あり？」
そこに女子がわいわいと集まっているところで目がとまる。
中心にいる３年生に見覚えがある。というよりもよく知っている先輩だ。
「宮地さん！やっぱりモテるなぁ～」
高尾は窓を見つめた。どうやらバレンタインチョコをもらっているらしい。
まぁ、宮地先輩ならうちの部じゃ一番モテそうだもんなぁ～と高尾は窓の外を眺めていた。
 
昼休みになって売店に行くと、バッタリ宮地と木村に会った。
「さっき見たっすよ。宮地さんすげぇモテてたじゃないっすか～」
高尾はさっき窓から見ていたことを宮地に教えた。
すると宮地はペタンと高尾の頭を平手で軽く叩いた。
「まぁな、うちのバスケ部なら当然だろ」と笑う
「そういう高尾はどうよ」
急に振られてもまだ一個ももらってない。
そのことを告げると
「情けねぇな」ともう一度頭を叩かれそうになったので高尾は宮地から逃れた。
高尾は宮地と一緒にいた木村に向き直り
「木村さんはどうっすか？」
と割と地味な先輩だからまさかもらってないだろうと話題を振った。
 
だが宮地は高尾の首を抱え込んだ。
「おまっ！知らなかったのかよ～こいつこの顔で彼女いんぞ」
と木村を指差す。
「この顔では余計だろ、たりめぇだ」
と木村は胸を張った。
「まさか木村さんに彼女がいたなんて反則っすよ～」
高尾は口を尖らせた。
結局本命の彼女から手作りのチョコレートをもらったことを自慢され、お裾分けだと宮地と木村からチョコレートのおこぼれをもらった。
だが、ちっとも嬉しくない。
 
「なんだよ～いくらバスケ部がモテるったって、キャプテンはいないよなぁ～あの顔だし」
高尾はクスクスと笑いながら廊下を歩いた。
チョコを片手にパンを買って教室に向かう。
ふと階段の下から聞き覚えのある声が聞こえてきて覗いた高尾はそこにバスケ部のキャプテンである大坪の姿を見付けた。
え、大坪さんも？大坪が女の子からかわいらしい袋を手渡されている。
 
「あ～も～リア充爆発しろ」
 
結局先輩達は全員チョコレートをもらっていた。
こうなったら残りはひとり
まぁ、うちのエース様は変わり者だからその辺心配はいらないか・・・
と高尾は緑間のクラスへ様子を見に行った。
そこで妙な光景が目に飛び込んできた。
 
「やべぇ。うちのエース様は変り者だしねぇよなwww
えっ？あれ男じゃん。真ちゃん俺以外のホモチョコとか、ぶはっ！」
 
緑間にちょっとおとなしそうな男子が包みを手渡していた。
高尾は思わずゲラゲラと笑い出すと、その男子はびっくりして走って教室を出て行った。
 
「高尾、失礼なのだよ」
 
教室の入口に向かって緑間がムッとする。
まさかあんな奴からチョコもらって嬉しいのかよ！
高尾は緑間に近づくとそのチョコを取り上げた。
しかし、緑間はそのままカバンから別の包みを取り出した。
「ナニコレ？」
緑間に差し出された包みを見て高尾は不思議そうに眺めた。
 
「バレンタインは友チョコというのがあるって今の奴が言ってたのだよ」
 
真ちゃんそれ信じてるとかwwwwww
 
高尾は涙目になりながら笑い出した。
「そんなに笑うならもうこれはやらん！」
「いや、うそうそ。真ちゃん嬉しい」
始めてもらったのが緑間からのチョコなのが皮肉だけど嬉しい。
ったく・・・
けど宮地先輩には言えないよなぁ～
 
高尾はポケットに入れてあった緑間へのチョコレートを取りだして緑間に渡した。
 
「はい、俺の大好きなエース様」
 
たかがコンビニで買ったチロルチョコなのに
緑間は頬を赤くした。
 
やっぱり飽きねぇな
高尾はクスクスと笑いながら緑間の手を掴む。
 
「部活行こう」
「ああ」
 
俺達の距離は少しだけ縮まったかもしれない。
 
おわり

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読了、お疲れ様でした。
ｗｅｂ拍手をありがとうございます！
緑高でした。
秀徳はきっとみんなモテると思います。
木村さんリア充っぽいです^^